今日の電柱 Part3

  • 1
    1

    街にちらばる
    名も無い物語

  • 2
    2

    それは
    ずっと其処にあった
    僕らが生まれる
    ずっと前から
    太古からの大地を見守る
    一本の大樹

  • 3
    3

    彼女はモダン
    彼女はモード
    不思議な魅力
    不可思議な魅力
    クラクラする僕
    恋の目眩

  • 4
    4

    Now, Just close your eyes
    Go to sleep, baby
    I'm gonna give you a kiss
    For your sweet dreams

  • 5
    5

    長いベールをまとった
    六月の花嫁
    誰よりも幸せにおなり
    あなたは、そのために
    生まれてきたのだから

  • 6
    6

    細い糸を弾いたら
    哀しい音がポロンと鳴った
    私はあてどなく
    何度も爪弾いてみる

  • 7
    7

    Bible
    人は何度黒い雨を降らせば
    気がすむのか
    あなたに何か託すように
    消えた命

  • 8
    8

    季節は移ろい
    人は移ろい
    心は移ろい
    花の色は移りにけりな
    いたずらに

  • 9
    9

    湯煙に誘われて
    懐かしさが
    込み上げる
    洗い髪が芯まで冷えて
    家路を急いだ
    冬の日

  • 10
    10

    笑わない人魚
    手に入れたくて
    一緒に海の底に沈んだ

  • 11
    11

    サーカスの始まりだよ
    細いロープを渡る曲芸師
    ユラリと揺れて
    真っ逆さま
    道化が笑った
    さぁ
    サーカスの始まりだよ

  • 12
    12

    雨上がりの空に
    蹴り上げた靴
    遠く飛んで
    明日は腫れ

  • 13
    13

    平和の琉歌
    この国が平和だと
    誰が決めたの
    人の涙も
    渇かぬうちに

  • 14
    14

    絡み合う視線で
    無言の語らい
    言葉よりも雄弁に

  • 15
    15

    細い腕を伸ばして
    光に手を翳す
    指の間から
    さらさらと
    月の雫が零れ落ちて行く

  • 16
    16

    深い海の底
    静かに沈んでいく私
    水面が揺れながら
    遠ざかって行った

  • 17
    17

    交差する街角
    あちら
    こちら
    そちら
    そして空

  • 18
    18

    古い写真がハラリと落ちた
    見知らぬ顔が笑っていた
    色褪せて
    煤けた紙の中で

  • 19
    19

    絵を描いた
    綺麗なものを描いた方が
    いいのだろうと思うけれど
    誰に認められなくても
    心に響くものが描きたかった

  • 20
    20

    硝子の瓶を覗いてみたら
    滲んで歪んだ街が
    水底で揺れていた

  • 21
    21

    遊んでいた子が
    一人、二人
    帰って行く、夕まぐれ
    あの子はまだ遊んでる
    誰も迎えに来ない

  • 22
    22

    縦の糸、横の糸
    鮮やかな色が
    織られていく
    あの人の白い手から

  • 73
    73

    誰もが家路を急ぐ夕暮れに
    立ち止まってみた
    せかせかとした足音だけが
    私をすり抜けて行った

  • 74
    74

    樹々の間に間に
    見え隠れ
    葉を透かして見る
    気づかれぬよに

  • 75
    75

    私からあなたへ
    思いを紡ぐ
    手を差し伸べる
    其の心に

  • 76
    76

    孤独な荒野をゆく旅人は
    倒れては、起き上がり
    倒れては、また起き上がり

  • 77
    77

    月に吠える
    狼の咆哮
    月光の吐息
    蒼い闇に溶ける

  • 78
    78

    ブラシで
    さっと刷いたような
    白い雲の戯れ
    見上げれば
    ほら

  • 79
    79

    生まれ出づる悲しみ
    狭いトンネルを潜り抜けて
    最初に見たのは
    天から降りてくる光

  • 80
    80

    そして、私は
    また歩き出す